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「南米旅行」 2004年  リトルモア

 

ペルーのリマをかわきりに、チリ、アルゼンチン、ブラジルと3ヶ月ほどかけてリオのカーニバル目指して旅した時のもの。作者にとって初めての長期の旅で、日記のようなものを後書きにしているが、今読み返しても当時の情景がありありと思い浮かんでくる。明るい南国といった風景は視覚的には言うことないが、体感的にはコートを二、三枚羽織ったくらいのカラカラに乾燥した地域がいい、というのが旅を終えブラジルの空港から飛び立ったときの作者の切実な旅の実感である。

 

「1/41 同級生を巡る旅」2002年 情報センター出版局

ひとクラスしかない田舎の小学校で6年間を共に過ごした同級生40人。卒業してからすでに二十数年、全国に散らばる彼らを一人ひとり訪ね歩いた写文集。当時なにかと騒々しい日々の生活に精神が疲弊していたようで、会って話をして写真を撮って、そして別れるというその淡々とした行程なかで、作者はいつしか心の安寧を意識しはじめる。という、いうなれば巡礼や行脚的要素を含んだ作品集である。

 

「海、その愛......」1998年 リトルモア

 

水平線に憧れる山育ちの作者が、江ノ島海岸にふた夏ほど通って撮った作品集。でも水平線はものの5分くらいで満足してしまい、かわりに海水浴客でごった返す浜辺にレンズはシフト。どうも当時の作者には壮観な自然の美よりも雑多な人間界のほうが魅力だったようだ。